2025年 第22回本屋大賞を受賞された事で話題になっていた、岩手県花巻市出身の作家、阿部暁子さんの小説「カフネ」。
先日、近所の書店で購入して以来、少しずつ読み進め、先日読了しました。
物語後半からの展開にページを捲る手が止まらず、最後の方は夜更かしして一気読みしてしまいました。
(以下、本の内容について触れています)
弟の死をきっかけに、弟の元恋人の女性との関わりを通して家事代行サービスを手伝う事になった主人公。
主人公自身の人生における葛藤(実家の両親への複雑な思い、結婚後の苦悩など)のリアルな描写が印象的でした。
サービスやケアは、ただ誰かに善意を受け取ってもらって終わる一方的なものではなく、双方の思いを循環させその後の生活に還元させてゆくもの。
サービスやケアを提供する側もまた人間であり、苦しみや悩みがあって、それを抱えながらも前向きに進もうと奮闘しています。
一方で、様々な事情で前向きになる事が難しく、苦しい思いを抱える人にも、平等に現実は進んでいきます。
家族がいてもいなくても、一見幸せそうに見えていても、その人の心の中身を全て窺い知ることはできません。それがたとえ家族だったとしても。
家族だからこそ、なのかもしれません。
人が誰しも抱える「孤独」への気づき。
そして実際に手を伸ばして労う事。勇気を出して一歩踏み出す事。
本のタイトルにある「カフネ」という言葉の意味そのものを体現した物語だと感じました。
ミステリー要素もあり、あの場面は・・・あの時のセリフは・・・と新たな気づきが得られそうなので、これから2周目をゆっくり読んでいきたいと思います。
作品内に出てきたレシピも食欲をそそります。ぜひ参考にして作ってみたいものです。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!